2012年12月25日

最後の汽笛街道 (最終回:最後のフロンティア 12 ミャンマー編)

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 2012年9月のミャンマーの風は温かかった。

 訪れる前は、軍事政権やら、北部カレン州の虐殺のような少数民族との衝突イメージがどんよりと暗くのしかかっていたが、いざ上陸してしまうとあっけなくそれらは消えうせた。

 確かに、今なお軍事政権だが、つい2、3年前に行った人のミャンマー観とは全く違う触り心地でこの国を観させてもらった。ヤンゴンで出会ったミャンマー好きの旅行者から聞くと、この国は2010年から急速に変化してきた、という。

 今、日本人がミャンマーを訪れる事はさほど難しくはない。東京か、バンコクで意外とあっけない手続きでビザさえ手に入れれば、堂々とバンコクから一日数往復ある飛行機に乗ることが出来、そのノリで旧首都ヤンゴンに到着すれば、もちろん難なく旅が続けられる。ただ、タクシーは料金をいちいち交渉しなければいけないので、空港から少々面倒を感じるかもしれない。

 さて、そのタクシーに乗れば、バンコクからの携帯の電波は少しも入らないのを確かめるや否や、外界からの‘隔離’も期待できよう。一方、高級ホテルではWI-FIサービスが届き始め、ここもやがて‘普通の国’になりつつある予感を与えてくれるだろう。10年もしないうちにこの国は、外国と電話&インターネット網に塗りつぶされることだろう。

 改めて、あのミャンマーの旅から早3ヶ月が過ぎようとしている。アウンサン・スーチー女史があちこちで話題を振りまき、最高指導者、テ・イン・セイン大統領が始めてアメリカを訪問し、そして逆にオバマ米大統領がミャンマーを訪問するなど、あまりにも急角度で密接な西側外交に舵をきっており、ミャンマーという国名がマスコミに踊ることがとても多くなった。

 まさに今、世界はこのアジア最後の未開の地となったミャンマーに熱い視線をそそいでいる。この国が近い将来、少数民族との対立が和らぎ、タイやインド、西側諸国と交流が深まれば、きっと陸上の国境も開き、東南アジア経由でヨーロッパから日本の対岸である上海あたりまで陸路で横断できる日がくるであろう。

 しかし、その頃には素朴で垢抜けていない今のミャンマーがあるであろうか。紀行文でジャンピングトレインと揶揄してミャンマーの列車の劣悪さを愚痴りはしたが、旅という心のへ窓から観ればこれほど面白いものはなく、後で振り返って、『古きよき開発前のミャンマー』として思い出されるのであろうか。あの心地よい劣悪さは、滲んだカラー写真のように過去の記憶としてすぐに始末されるかもしれない。

 あの人々はあまりにも勤勉であるがゆえに、まさに‘今’だけを追い求めて無我夢中なため、気持ちよいほど素直な心と顔の艶を置き忘れてしまうのではないか、と内心勝手な心配をしてしまっている。思い出せば、街でよく出会ったぼったくりや、両替商の詐欺などは‘悪’のレベルとはほど遠く、実は歯から笑いすら出てくるのだ。しかし、夜の街では、中国の影があるので、その悪のどぎつさは計り知れないが。

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(日本語学校の教室[マンダレーの『富士山』日本語学校にて])

 ミャンマーがなぜ今までのような中華帝国から離れ、いきなり西側とのお付き合いに急にハンドルをきったのか。それはいろいろな人が述べているのでここで詳しく演説はしないが、どんなに国内の少数民族同士が果てしないいざこざを続けようが、やはりこの国は平和を求めているのだ。これからも中国とべったりであれば、富は吸い上げられ、その代わりに武器が流入し、自分たちの祖先のふるさとであるチベットのようになるのが怖かったからかもしれない。ミャンマーは気づくのが遅かったが、ようやく行動におこした。

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 さて、一連のミャンマーの鉄道旅であるが、ここで終わりにさせていただく。都合、11泊12日、1国を周るにはあまりにも時間がなかった。ご存知の通り、ミャンマー鉄道では、外国人が乗れる路線は制限がかけられている。旅のガイドブック『地球の歩き方(ダイヤモンド・ビック社)』に乗車可能路線が載っているので参照してほしいが、今回、最新版として全路線ではないが自分で時刻を調べたので参考にしてほしい。

 いろいろと他にも行きたかった。特に南部方面の路線が乗りたかった。そちらの方は今回は足を踏み入れていないため、どんな景色が展開されるか全くわからないが、今回は空想旅行にとどめ、その手がかりとして、一応、列車の運行予定表と運賃を調べたので、いかに列挙しておく。

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map_rainway-jp[1].jpg

※ミャンマーの一大幹線、ヤンゴン〜マンダレー線
 
 図Yangon-Nayoyitaw-Mandalay線 .jpg
 ヤンゴン→マンダレー幹線 優等列車時刻表(2012年9月現在)修正_ページ_1.jpg 
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※南部方面、アンダマン海沿いの路線
 
 図Dawel port線.jpg
 ヤンゴン→マンダレー幹線 優等列車時刻表(2012年9月現在)修正_ページ_2.jpg
 
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※(その他路線)
@
図Bagan線.jpg

A
Mandalay- Lashio.jpg
B
Bagan- Mandalay.jpg
C
図Yangon-Pyay線.jpg
 
ヤンゴン→マンダレー幹線 優等列車時刻表(2012年9月現在)修正_ページ_3.jpg

※2012年9月現在、筆者調べ

ミャンマー国鉄 ヤンゴン−マンダレー(2012).jpg   

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※ ミャンマーの鉄道は設備が古く、快適とは言いがたいが、快適を求める人がミャンマーを旅することはない、と信じる。そして鉄道好きは、本数が1日一本だろうが、バスの何倍の運賃を取られようが、それらの苦難を乗り越えて乗車するものとさらに信じる。汽車の味がいっそう濃くクリーミーに感じるであろう。

 何よりも、レールの上で疾駆している間だけ、あなたはどこの世界にも属さず、はるか遠い異国に地の雲の下で、インターネットとも繋がらず、バスのように運ちゃんの機嫌を気にせず、本当の意味での自由と解放を感じることができるだろう。そして、列車が終点になれば、また現実へと旅立ってゆくのだ。

(おわり)

修正.1996.3.02 島原鉄道 島原外港〜諫早 (5).jpg


次の旅はあるのであろうか・・・

http://www.kitekikaido.com/
posted by kazunn2005 at 20:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅行
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